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INTERVIEW:みずき(papalion)

今回は江古田にあるデザイン工房「虎の子屋」にお邪魔して、とーっても為になるお話を伺ってきたよ!全ての迷える若者バンドマンに読んでもらいたい、これからの時代のイケてるミュージシャンライフに迫る長編インタビュー!

自己紹介をお願いします。

papalionギターボーカルみずきです。1stアルバム「Morten」を少年ナイフなおこさんのレーベルBurningFarmからリリースさせていただいております。現在3枚目のアルバム「王様の庭」を配信リリースしています。あとは「ヤンキーハムスター」のテーマソング及びキャラクターソングを担当しております。


Papalion結成の経緯を教えてください。


江古田にある武蔵大学の音楽系サークルでまず僕とドラムのけいじが知り合ってスタートしました。その時は別のサークルだったの。要するにバンドがすごい低迷期だったのね。バンドブームなんか完全に終わっていた時代だったので音楽系サークルに人がほぼいなかった。僕が入ったサークルには一番最初僕しか新入生いなかったし、全部合わせても10人いたかいないかくらいだったからバンド出来ないじゃんてなると他のサークルの人たちと…。単独だといろいろ出来ないからけいじがいたサークルと一緒にイベントとかやらせてもらったりとかしてて知り合ったの。合宿とかも単独で行けなかったからね我々。


(左はpapalionドラムで虎の子屋代表のけいじさん)


この虎の子屋はいつ立ち上げたんですか?


ちょうど10年前。今年10周年だから。もとから僕はデザインやってたし、けいじはプログラムをやってて何かしら仕事場が欲しいねって話をしてた時にたまたまプラプラしてて見つけたのがココなだけ。デザイン事務所とかオシャレな街にあるイメージだけど、そうじゃなくてこじんまりしたところで仕事場が欲しいなと思って探していて…。


江古田が好きなんですよね?


好きっていうか、あんまり縁の無いところでいきなりはなかなか難しいからね、ちょっと縁があるところのほうが良いかなって……江古田が好きです!江古田が好きで江古田で仕事かしたいなって思って江古田で探しました。巣立ちの出来ない人たちみたいだね。もともと作りたかったのがオープンなデザイン事務所だったから…誰でもフラッと入れるようなデザイン事務所を作りたかったから、そういうのって青山とか中目黒とかオシャレな街だとやりずらい。もう少し庶民的な街のほうが馴染みやすいかなと思って探してた候補の一個として…江古田という街はぴったりかなと思って。探してたら本当にイメージ通りの、通りからちょこっと入った所にあるこじんまりとした一角、みたいなのがちょうど良かったのよね。人通りも無くないじゃん、商店街があるから人も通ってるし。人が生活してる感じがしてる所で仕事がしたかった。それが虎の子屋の第一条件…人の感じが分からないのは…。青山とか借りても良いけど…生活感無いじゃん。ご飯食べるのも大変だって言ってたもん。


この辺なら美味しいお店がすぐ近くにいっぱいありそうですね!


美味しいご飯もいっぱいあるし、学生街っていうのもあって値段の手頃なところが多いし、定食屋さんみたいのも多いからね。


量も多そう!


それは逆に難点だよね。もうそんなに食えないっていう…昼間にラーメンなんか食べたら午後仕事にならない(笑)まぁ食事には事欠かないかな。あと個人店が多いっていうのはすごく魅力。お店ひとつひとつがすごい個性的だからね…っていうのもあって、こういうとこを選んだひとつかな。チェーン店ばっかりだと…お店の人とも仲良くなりづらいじゃん。



近所のお店の人たちと挨拶してましたもんね。


うん、仲良くしてくれる人たちも多いから。同じ感覚でやってる人たちが多いので喋りやすいじゃん。


地域の人同士で声掛け合える街ってとっても良いですね!


みんな仲良いのかどうかは…知らないけどさ(笑)「あー」「あー」みたいな感じのユルい人たちがいっぱいいる。


美容室の人にも話しかけてましたね!


Festaさんね。この赤いのはあそこでやってもらった。あそこも、あそこに人が集まるのよ。要するに髪切りもしないのに、どうもーって入ってあそこでみんなでお茶してたりとかするの。あそこからココに人が流れてきたりする。名刺作りたいって人がいるんだけど作ってくれないみたいな?



この辺で名刺欲しいって言ったらココなんだ。


そうそうそう(笑)作ってもらえば?あそこで!みたいな。で、あそこもいろんなことしてるから。あの店の中で寄席とかやってる。噺家さんもいるの江古田に、師匠が。そこのお弟子さんの寄席やらせてあげたりとかさ。そういう演芸が好きなんだって。


ココでも出来るじゃん。


やれるね。吉田蝋燭さんのワークショップやってるじゃん。


店頭に蝋燭燈してね。何の儀式だい?!ってね。


でも去年は駅前でやれたよ。


進出してる!


江古田はもともと大学が3つあるからさ、武蔵大学と武蔵野音大と日芸があって、音大と日芸がアート系じゃないですか、だから結構そういう人たちが多い。芸術っぽい人たちが多いし、街の人たちも学生相手にしてるからあんまりうるさいこと言ってもしょうがないじゃん、だからちょっとみんなおおらかなんだよね。音大があるから音出し物件が多くてミュージシャンも多いし。良く聴こえるよ、管楽器とか弦楽器の音が。いろんなとこでみんな練習してる。


それに対して誰もうるせーとか言わない良い街なんでしょ。


だって言えるような環境じゃないじゃん音大あるんだもん。知ってて来ただろって話。


すごく良い環境ですね!


で、なんか言うと色々出来る人多いからね。色々作れる人いるじゃん。これやってって言ったらやれる人たちが多いから。


街のシャッターにも至る所に素敵なイラストが描かれてましたね。


あれは日芸の子たちが描いてくれたやつだし。日芸の子たちが映像撮ってたりしてるしね、街中で。そういう風景は日常茶飯事な感じもするし。



クリエイティブな街ですね!


だからうちみたいな形態でやっててもあんまり誰も疑問視しないよ。ふーんみたいな感じ(笑)もともとこういうのやりたかったのは…昔のガラス屋さんとか畳屋さんとかって自分の家の住んでるところの前に作業するスペースがあったりしてさ、作業してる風景が見れる…ああいうのって面白いなって。そういう物を作る場所が街中にある、そういうスペースが作れたら面白いかなと思って。こうやって色々売ってるけど、売ってるものは自分たちのじゃないからね。物作る人たちの販売の場というか、表現の場というか…になっても面白いかな〜って思ったし、あとココでラジオもやったじゃん。そんなことやってても別にみんな、やってるんだ〜くらいで済ますでしょ(笑)


一見さんもフラッと来て良いんですよね?


うん、フラッと来るしね。外国のお客さんも意外と多かったりするよ。大学の学生もいるのかもしれないし、民泊もあったりとか。ただ、外国の人に説明するのが難しい商品がいっぱいっていう…。


外国と言えば…少年ナイフとのつながりを教えてください!


少年ナイフのライブを初めて観たのは母校、武蔵大学の学祭のライブだったの。学祭に来てくれてライブをやってくれたんだけど、その時はほら…海外で売れてる日本のバンドだったじゃん本当に…あの当時すごかったじゃん。NIRVANAとかさ、ああいう人たちと一緒にやってる日本のバンドが来てるよ!それを生で観れるよみたいな感じで、みんなで観に行った。その時は何年か後に知り合うとは思って全然無いじゃん。だって全然遠い世界、海外でライブやっててさ…ていう人たちだと思ってたからさ。その後だよね、僕らがpapalionをやり初めて色々やってたらたまたま知ってる人が少年ナイフのコンピレーションアルバムに参加してたから紹介してもらって知り合ってみたいな話で、それからアルバム出してもらったりとか…それでうちらがデザインやってるのを知ってそこから色んなデザインで関わらせてもらったりとか…



少年ナイフのデザインやってるんですもんね!


そうですよ。UK・EUツアーに持ってったやつだから、イギリス、ヨーロッパの人たちにも届いているし、ポスターとかもやってるからウチラは行ったことは無いくせにデザインだけ行ってるっていうね。嬉しいよね、自分たちのが海外に行くきっかけを作ってくれてるっていうのはとてもありがたいから。当時としては全然世界が違う人たちだと思ってたのに虎の子屋をやったことによってウチラがやってる音楽とデザインがここで一つに繋がっていくみたいな感じ、ていうのはちょっと嬉しいよね。学祭に呼んだ大学の後輩マミは少年ナイフの「Pop Tune」のジャケットデザイン描いてるからさ…なんていうのも夢みたいな話というか、こんなきっかけってすごいなぁって。普通は海外のデザインと日本のデザインて変えたりしてたんだけど、あのイラストは色味だけ変えてUK盤US盤日本盤で出したし。最終的には江古田で音楽イベントやった時に少年ナイフもう一回呼んで武蔵大学でやってもらったからね。こういう風に僕らがいた江古田と少年ナイフとがこういう形で繋がってくるとは全然当時は思って無かったので面白いね。


最初に少年ナイフを呼んだ斉藤マミさんがすごいですね!


そうだね!すごいね!彼女にしては少年ナイフは高校の時のアイドルだからさ、学祭呼んだだけで充分なのにジャケットのデザインまでさせてもらって今回は40周年のロゴまで描いてね。


とんでもないパワーですね!パワーと言えば今、勢いのあるヤンキーハムスターについて聞かせてください!


たまたまヤンハムのPiso Studioさんたちが見つけてくれて、自分たちもこんなの作ってるんだけど置いてくれませんか?みたいな。この辺を制作の場としてたから。


みんなが集まりやすいデザイン事務所にしたからこそですね!


思惑通りの人たちだから。我々の罠にハマった人たちですから。



ヤンハムって言ったら今じゃ…


海外でもやってるからね。テーマソングもうちらは行かないのに作品だけが海外に行くっていう、我々の…何でしょうね、コレ。何故、ウチラを呼んでくれない…(笑)


ヤンハムのテーマソング私も大好きですよ。


ヤンハムグッズを買いに来てくれた人に、実はテーマソング歌ってますよっていうとみんなちょっとびっくりしてくれる。


歌ってくれるんですか?


歌ってあげるよ。


♪オーヤンキー


そこじゃない…みんなそこじゃない(笑)ほおぶくろを膨らませ♪が聴きたいだけ、そっちなの。サビじゃない。ほおぶくろを膨らませ♪は勝手につけたの、僕が。なんとなくシュプレヒコールみたいのを入れたかったの。みんなで言えるような…って思った時に、ほおぶくろを膨らませ♪が良いかなみたいな。給料上げろ!とかじゃないけど、そういう感じの意味で。


じゃあココで外国人も歌ってるの!?


そういう外国人はまだ会ったことないけど、販売会やった時、一番最初に並んでくれたのニューヨークから来ましたって人だったよ。この間も基本的にはアメリカに住んでるんだけど、やっと日本に帰ってこれたからって親子が来てくれて。


みんな歌えるんですよね!?


ちっちゃい子は歌えるよ。恥ずかしがって歌ってくれない子とかいるけど。ちっちゃい子にウケるのは良いよね。papalionでサイン書かないけどヤンハム絡みだといっぱい書く(笑)


商売上手ですね!


商売ですからねココ。ビジネスマンですよ意外と。papalionじゃなくて虎の子屋が基本デザインの仕事なので色んな人に会えるのよ。色んな業種の人に。だからめちゃめちゃ面白いのよ。ある一部の業種じゃなくて色んな業種の人と、それこそ少年ナイフみたいなミュージシャンから普通のお店の人から色んな人に会えるから、色んな商売の人たちと会えるから色んな考え方聞けるじゃん。ああ、こういうやり方あるんだなとか、こういう物の考え方があってこういうビジネスのやり方があってみたいの知れるからとてつもなく楽しいは楽しいよね。



音楽活動も仕事も全部まとめて楽しそうにやってるの羨ましいです!


でもそれはココ作ったからだよ。自分を信じていないので、こういうとこ作っちゃうとココ守るために動くじゃん。そうするとお金稼がないと守れないから…ってなるじゃん。何もないと、やんなくなるでしょ。それがもしかすると普通の人だったら家族なのかもしれなかったりとか色々するかもしれないけれど、場所さえ置いて、これを維持するために動けば良いって考えると色々やりやすくはなるかな。


最近はふるさとの福島でも野外イベントを開催したりと地域や社会にも貢献しつつ良い音楽活動されてるな〜と思います。


実際問題、音楽だけで食ってる人っていないよ(笑)マジな話、一番最初は音楽!って思ったは思ったよ。知らないから。知らないから思って、やったんだけど意外とみんなそう言いながら本当に仕事にしたいと思ってる感じがあんまりしなかったのね、周りのバンドの人たちというか色んな人たちが。なんだろなって思った時に、まず自分が仕事ってなんなのか解らないって思ったのよ。だからまず仕事ってなんだろう、仕事覚えよーって思ってデザイン事務所に行ったのが一番最初かな。なぜそう思ったのか解らないけど。仕事しながらバンドみたいのもやって、なんかそういうのでもオッケーって言いそうな業界ってなんだろうなと思ったら制作の業界かなと勝手な妄想で…クリエイティブな人たちならこういうのアリなのかなと思って色々調べてデザイン事務所みたいなところに行ったら、師匠、その一番最初に入ったデザイン事務所の人がちょうど音楽のジャケットとかそういうのをやってたデザインチームの一人で、その人が独立してウェブとかを作っていたから…そこにこう、まんまと、入れてくれた。


持ってるなぁ〜。


でもそれはなんかで言ってた…自分のやりたいことはちゃんと口に出すことって誰かが言ってたんだよね。そうしないと定食屋さんとかレストランとか行った時にちゃんとオーダーしないと物事って出てこないでしょって言ってたんだよね。自分がやりたいことはちゃんと口に出して人に説明しとくと誰かが繋げてくれると思うから、ちゃんと言っといた方が良いよって話。で、言ってたのが福島の野外イベントに繋がってくるんだよね。たまたま、ライブの帰りだったんだけど…ライブを山形でやってその帰りに地元の福島でちょっと面白いとこないかなーと思ったらワイナリーがあったからワイナリーに行って、何しに来たのー?こんなところ何で知ったの?って(笑)ライブの帰りなんですって言ったら、あーそうなんだーウチにステージあるんだけどさ、なんかやんなーい?みたいな。やりまーす!みたいな。山形でライブやったのもココで知り合ったヨガの先生がウチラがやったイベントを見て、私もイベントがやりたいって言って山形でヨガのイベントをやり始めて、そこでライブやってくれないかって言って、山形行ってその帰りに福島寄ってワイナリー寄ったらライブやらない?って言われて、やるー!ステージあるならやるー!ていう流れなだけだよ。


ココがパワースポットなんだと思う!おっとそろそろ時間なので、また次回、福島の野外ライブ「山餐サウンズ」について聞かせてください!これからも江古田の街を盛り上げていってください。


ありがとうございましたー。


(一同拍手)


ラジオじゃないから!






インタビュー・撮影:Pankin